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2009年 04月 10日
nagasawa hairyo 200902
○山 奥多摩 長沢背稜

○時期 2009年2月

○形態 日帰り

○天気 くもりはれ気味

○コースタイム 
0730東日原-0900一杯水避難小屋-1030酉谷避難小屋-1330水松山-1415天祖山-1545林道入口ゲート


奥多摩へ。




何回か行っている長沢背稜。

雲取幕営の1泊でゆるりと歩こうかなと。

12月にも鴨沢ルートでやったけど、初めて逆から。

逆は1日目ロングコースを、ずっと登るのできつい。




○前半
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0730 東日原発

前に1人いましたが、川苔方面へ行かれたため完全に一人に。

0900 一杯水避難小屋
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急登で汗を大量にかくも、無難に到着。誰もいない。
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長沢背稜は静か。まさに近所の秘境。

赤テープや目印がなく、この日は雪で登山道も殆どわからない。

しかもノートレース(足跡がない)。

案内板はあるけど、『ここがどこなのか?』という重要な点を説明してくれないので、地図を見て自分で判断するしかない。
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何回歩いても完全には覚えられない。

知ってる気になるのも危ない。

そんなとこに貼られても・・・
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1030 酉谷避難小屋は地盤崩壊閉鎖中。でも展望は最高。
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湧き水で水補給。

なんだかんだ言っても順調で

一人の緊張感と、静かな山歩きに幸せを感じていた。

ただ、長沢背稜は尾根道(山の上)じゃなく、トラバース(斜面を横切る)道が殆どでしかも狭いため、この日は微妙な雪の量で非常に歩きにくかった。




○地獄の後半

酉谷避難小屋~水松(あららぎ)山
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水松山までの間で急に雪が深くなってきて軽アイゼン装着。

トレースは動物のみ。
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途中ハンターに会うも、それ以降は下山するまで誰にも会わず。

奥多摩の山奥で一人きり。言いようのない感動とともに、怖い。

山に入るのは毎回、怖い。

ワクワクと怖さが同じだけ。



崩落箇所があったり(軽く流された)、雪で足場が悪くペースダウン。

水松山から長沢山へ向かう際。ココは迷いやすい。

全然わかんない。
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そっち。って言われても・・・
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反対から来ただけなのに、分からんもんだね。

そして。

水松山からは北側斜面へ入るのですが、まさかの積雪50CM・・・。

いくら日が当たらないといってもつい先日訪れた際は、暖冬で少なかったし、昨夜の雪がこれほどとは。

全然踏まれていないため、ワカンも無くてズボンズボンはまるし

迷わないようにルートファインディングにも時間がかかる。

ホント道がわからん。




とはいえ経験のある山。

山の感じで 大体は分かるけど強行突破する理由が無い。

人もいてコース整備された北アルプスより遭難の可能性は高いし

人が多く入る北海道の山のヒグマより、人のいない奥多摩のツキノワグマのほうが遭遇率が高いと

よく奥多摩の山に入る人は言う。

まぁ獣道だったり、クマ道だったり、奥多摩でも奥のほうだったり、時間帯だったり色々でしょうが。

この雪は想定外だったため、ワカンもない僕は、長沢山直下で撤退を余儀なくされた。




1330 水松(あららぎ)山~天祖山
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体力消耗が激しいのでビバークかも・・・でもテントも食料もある。

ただ、ハンターの『今日は熊がでんべよ』の一言が引っかかっているだけ。

うーん。天祖山超えて日原へ戻ろう。それ以外に下山の選択肢がない。

日原方面ならどこだろうが下ってしまえばどうにかなる。

とはいえ安全な道を歩きたいし、山で遊ばせてもらうのに必要以上のインパクトは避けたい。

ここは只の田舎でなく、観光客も登山客も多い奥多摩であるから。



激急勾配でありつつ完全な雑木林で

はっきりした登山道がないこの道。最悪。

日が落ちる中、あっちこっち藪こぎしながらようやく神社を発見した時は泣けた。
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1415 水場もある会所前でテント泊を考えたが、いろんな意味でおっかない。

とりあえず『ゲート』まで、明るいうちに16時までに下ろうと決める。

そこからは舗装道で1時間でバス停だ。ただバス時刻がわからない。

そしてザックが重い。



ここからは心の弱さとの戦い。

もう無理。ここで泊まるか。行くのか。でも暗くなったら多分迷う。

己の過信と読みの甘さに苛立ちつつ

暗くなるまでに下山したいと焦り始める 。

人はいない。

足がもう死んでてガクガクだし

軽アイゼンはぶっ壊れた。

ただ、登山者がいたらしく、トレースが付いていたのがありがたかった。

この場ではルートファインディングの時間はとられたくないし、めんどくさかった。

コレが後にさらに救いを与えてくれた。



天祖山~ゲート~御岳??
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小走りで駆け抜ける。

沢へ下っていくので、足踏み外したらおしまい。

でも足ガクガク。

そして下までずっと急。ここは登って来たくない。

1545 無事ゲートへ。
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汚ったね。しかし、激戦を物語る。
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○縁は大事に大切に

舗装道を歩いていると車が止まっていた。第一町人発見。

誰かと話したかった僕は、バスの時刻を聞いてみた。

初老の夫婦だった。バス時刻は知らなかった。

乗せてってやるとは言ってくれなかった。

スモーク貼って、2人で後部座席で、何やってんだろう・・・。



とぼとぼ歩いていると、昼に会った人当たりのいいハンターの車が追い抜き様、『結局雲取いけなかったんじゃねーか』といった表情を向けた。

乗せてってよ。

ハンターの車が数台通った後、最後にあの初老の夫婦の車が止まった。

どうやら奥多摩駅まで乗っけてってくれるらしい。

天祖山の登山者はこの夫婦だったそう。まさに救いの神。

途中、バスを追い抜いたので、多分乗せてもらえなかったらバス停で一人、1時間以上待っていたんだろう。



夫婦は御嶽駅ほど近くにお住まいで

山が好きな若者に出会うと、涙が出るほど嬉しいと語った。

二人とも台詞口調というか、情のこもった人間くさい話し方をする田舎の人で、すぐ好きになった。

田舎が一番いいという。僕は激しく同意した。

田舎には何もない。とほざく者は、吉祥寺にも何もないという。

田舎には、何でもある。全部ある。



もっと話したいから家で茶でも飲んでってくれという。

もっと山の話をしようという。

すいとんまで出てきて、ごちそうになった。

家は山の写真だらけ!

2人は軽バンの後ろを寝れるよう改造し、全国の山を歩き倒したらしく

今は100名山も終えて、近所の山や小さな山を歩いたり、一般コースでないコースを歩いたり、巨木を見たりしてと、とにかく山を愛しる。

3日、5日、7日休みがあったら、どこの山へ行くかという話が超盛り上がった。



そして、子どもが自立して二人だけなので

奥多摩山域に来たら電話しろ、家に寄れ、泊まってけと。

嬉しいなー。

来る予定のなかった山で初老の夫婦に出会ったのは、偶然ではないかもしれない。




下山を焦った直後

東京の山の父、母に出会い、やさしくしてもらい。

僕も誰かにやさしくしよう。

出会いは大切に。




僕の人生は出会いにあふれているようだ。

by kyo-chaang | 2009-04-10 12:00 | 山歩き


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